医薬品等安全性情報
Pharmaceuticals and Medical Devices
Safety Information No.151
目 次
1 ライ症候群とサリチル酸系製剤の使用について
2 塩酸ファスジルによる消化管出血,肺出血,鼻出血,皮下出血について
3 マレイン酸チモロール点眼剤の長期投与による眼類天疱瘡について
4 使用上の注意の改訂について(その111)
この医薬品等安全性情報は,従来の医薬品副作用情報を改めたもので,厚生省において収集された副作用情報をもとに,医薬品等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成10年(1998年)12月
厚生省医薬安全局
ここでは、上で紹介したページのうち、
「1 ライ症候群とサリチル酸系製剤の使用について」
のみを転載しています。
【情報の概要】
医薬品等 アスピリン等サリチル酸系製剤 対策 使用上の注意の改訂 情報の概要 インフルエンザや水痘罹患時のサリチル酸系製剤とライ症候群の関連について,これまで「使用上の注意」の改訂等の措置を講じ医療関係者や一般消費者への注意喚起を図ってきた。このほど,我が国の研究班による一連の調査研究が終了したこと,海外での新たな文献,提言があることを踏まえ,ライ症候群とアスピリンを含むサリチル酸系製剤との関係について考察を行い,「使用上の注意」を改訂し,改めて一層の注意喚起を行った。
1 ライ症候群とサリチル酸系製剤の使用について
(1)はじめに
ライ症候群は,昭和38年にオーストラリアの病理学者Reyeにより最初に報告された症
候群であり1),主として小児においてインフルエンザ,水痘等のウイルス性疾患に罹患
した後,嘔吐,意識障害,けいれん等の急性脳症の症状を呈し,肝臓ほか諸臓器の脂肪
沈着,ミトコンドリア変形を伴い,GOT,GPT,LDH,CPKの急激な上昇,高アンモニア及
び低プロトロンビン血症,低血糖症といった症状が1週間程度発現する病態であり,そ
の発生はまれであるが,予後は不良である。
昭和57年,米国においてサリチル酸系製剤,特にアスピリンの使用とライ症候群の関
連性を疑わせる疫学調査結果が報告された2),3)。調査結果を受け,米国では,アス
ピリンとライ症候群の関連性を明らかにするには,更なる調査が必要であるとし,CDC
(Center for Disease Control and Prevention),FDA(Food and Drug Adminis-trat
ion)等による合同研究班において調査が行われた。
一方,我が国においては,米国での疫学調査結果を受け,安全対策の見地から,イン
フルエンザや水痘罹患時のサリチル酸系製剤使用とライ症候群との関連について,昭和
57年以降,厚生省医薬品情報4)や医薬品副作用情報5)の発行,使用上の注意の改訂及
びドクターレターの配布等6)の措置を講じ医療関係者や一般消費者への注意喚起を図っ
てきた7)。
また,これと並行して,我が国におけるライ症候群発生とサリチル酸系製剤との関連
性を明らかにするため,「Reye症候群に関する調査研究」(昭和57年度〜平成元年度)
及び「重篤な後遺症をもたらす原因不明の急性脳症と薬剤との関係に関する調査研究」
(平成2年度〜平成8年度)として研究班を組織し,基礎的,臨床的及び疫学的に継続
した調査研究を行ってきた。
このほど,研究班による一連の調査研究が終了したこと,海外でもいくつかの新しい
文献,提言があることを踏まえ,中央薬事審議会副作用第二調査会において,ライ症候
群とアスピリンを含むサリチル酸系製剤との関係について考察を行った。(2)アスピリンの使用とライ症候群の発症の関係について
1)米国における疫学調査結果
昭和55年から昭和57年にかけて米国でライ症候群に関する4つのケース・コントロー
ル・スタディーが行われ,その結果,ライ症候群患者ではライ症候群を発症しなかった
患者に比べ,インフルエンザ,水痘などの先行疾患罹患時に,アスピリン等のサリチル
酸系製剤が使用されている割合が有意に高いという報告がなされた。
これらの報告に対し,先行疾患の重症度の点で,ライ症候群の患者と対照群の患者と
のマッチングが不適切であるなどの批判があった。このような批判を踏まえ,CDC,FDA
等による合同研究班は昭和59年2月から5月の間にパイロットスタディーを実施し,昭
和60年に結果を公表した。このパイロットスタディーでは,30例のライ症候群の患者と
145例の対照群についてのケース・コントロール・スタディーが行われた。対照群は,ラ
イ症候群患者と同じ病院に入院した者,同じ救急室に収容された者,患者と同じ学校の
生徒,電話番号から無作為に抽出した者の4つの母集団から,それぞれライ症候群患者
と同じ年齢,人種でマッチした先行疾患を有する者が選ばれた。ライ症候群の患者群と
対照群との間で,インフルエンザ等の先行疾患罹患時におけるサリチル酸系の製剤の使
用率を比較したところ,いずれの対照群と比較しても,ライ症候群患者の群でサリチル
酸系製剤の使用率が90%以上になっており,有意に高いという結果が得られた(表1)
8)。
さらにCDC,FDA等の合同研究班により,昭和60年1月から昭和61年5月にかけて本調
査が実施され,昭和62年4月に結果が公表された。この調査では,27例のライ症候群の
患者群(男14例,女13例,平均年齢11.0歳)と年齢,人種及びライ症候群発症前の先行
疾患の種類,発症時期を一致させた140例の対照群(男72例,女68例,平均年齢10.6歳)
が比較され,アスピリンを服用していた者はライ症候群の患者群では93%,対照群で29
%であり,アスピリンとライ症候群との間に強い疫学的関連性が見られるとされている。
また,ライ症候群患者群の,サリチル酸系製剤総使用量と1日平均投与量は,それぞれ
対照群に比して多く,有意の差が見られており(P=0.0052,P=0.0015)(表2),サ
リチル酸系製剤の1日使用量が20mg/kg/日以上の者がライ症候群患者では67%に対し対
照群では22%で,アスピリン使用量がライ症候群患者群では対照群に比べ多いことが認
められている9)。
2)日本における疫学調査結果
米国での調査結果に対し,日本ではアスピリンの投与量が少ないこと,ライ症候群の
発症数もかなり少ないこと,ライ症候群の発症年齢分布が大きく異なっていることなど
両国間でのアスピリンの使用状況とライ症候群の発生状況が明らかに異なっており,我
が国において独自にアスピリンの使用とライ症候群との関連性を明らかにすることが必
要とされたため,厚生省では研究班を組織し,日本におけるライ症候群患者の全容を把
握すべく,小児診療を行っている全国の小児専門医療機関(約1400施設)を対象として
疫学調査を中心に調査研究を行ってきた。
昭和59年度から開始された「Reye症候群に関する調査研究」の結果,日本におけるケ
ース・コントロール・スタディーでは,各群間に有意差は認められず,ライ症候群とサ
リチル酸系製剤との疫学的関連性は見られなかった(表3)。なお,対照群患者は,ラ
イ症候群患者の性,年齢,先行疾患の症状をマッチさせて選ぶようライ症候群の報告の
あったそれぞれの施設に依頼した。
その後,調査研究が平成元年度まで続けられたが,ライ症候群の発生メカニズムにつ
いて,ライ症候群とインフルエンザ等の感染症との関連性の検討が不十分であること,
小児におけるライ症候群と先天性代謝異常症との鑑別診断の不確実性が存在しているこ
となどいくつかの問題点が指摘され,因果関係を明らかにするためには,更に調査研究
を継続する必要があるとされた。これを受けて,平成2年度から平成8年度まで「重篤
な後遺症をもたらす原因不明の急性脳症と薬剤との関係に関する調査研究」が実施され
たが,昭和60年に使用上の注意の改訂やドクターレターの配布等の安全対策が講じられ
た結果,アスピリンの幼小児への使用が激減し,ライ症候群患者でアスピリンを使用し
た例がほとんど見られなくなったこともあり,疫学的な手法を用いて,ライ症候群の発
症とアスピリン使用との関連性を明らかにすることはできなかった。
なお,我が国において,昭和59年度から昭和63年度までに研究班に報告のあったライ
症候群の患者と急性脳症の患者との発症前の医薬品の使用状況を比較すると,ライ症候
群においてアスピリンの使用が多い(確定ライ症候群33.3%(7/21),臨床的ライ症候
群20%(13/65),急性脳症0%(0/32))という結果が出ている12)が,当調査会に
おいてこの結果について改めて検討した結果,疫学調査に必要な情報が必ずしも十分得
られなかったことから各患者の先行疾患時の状態が十分把握されておらず,ライ症候群
の患者と急性脳症の患者の先行疾患の重症度等の点でマッチングが不十分であったり,
また,先行疾患に対する治療方法等にバイアスが生じている可能性もあり,この結果か
らライ症候群とアスピリンとの関連性を明らかに結論付けるには無理があると考えられ
る。(3)アスピリン使用の減少とライ症候群発症の関係について
1)米国の状況
米国では,アスピリンとライ症候群の発症に関する疫学調査結果が報告された後,小
児のインフルエンザ等へのアスピリンの使用を控えるキャンペーンが行われ,また,昭
和61年及び昭和63年に添付文書の改訂の措置などが行われたことに伴い,ライ症候群の
発症は減少した。CDCが行ったライ症候群サーベイランスによると米国でのライ症候群の
報告数は,昭和56年には年221例13)であったのに対し,昭和61年には101例14),平成
元年には25例15)であった。
最近(平成6年)になって,米国の小児病院ではアスピリンによると疑われるライ症
候群が再び増加してきており,再度注意喚起が必要であるとする報告がある16)。
2)日本の状況
日本におけるライ症候群発症の状況は,「Reye症候群に関する調査研究」「重篤な後
遺症をもたらす原因不明の急性脳症と薬剤との関係に関する調査研究」により明らかに
されている。これらの調査では,全国の大学附属病院,国公私立病院,その他の小児専
門医療機関約1400施設を対象に,ライ症候群を含む原因不明の急性脳症患者の来院経験
の有無に関する一次調査(アンケート調査)が行われ,その結果,「経験有り」と回答
した医師に対してその患者の症状,検査所見等の詳細を求める二次調査を行い,詳細報
告を研究班で評価した後,各症例を米国CDCと同様の診断基準に基づいて,急性脳症,ラ
イ症候群(臨床的ライ症候群及び確定ライ症候群)及びその他に分類し集計解析が実施
された。昭和57年のライ症候群とサリチル酸系製剤に関する米国の疫学調査結果につい
ての医薬品副作用情報等の発行や,昭和60年の使用上の注意の改訂・ドクターレターの
配布を行った後のライ症候群発生報告数の経年変化については,研究班においては,調
査票の回収率をもとにライ症候群の発症数を推定し,その結果,平成元年度以後になっ
て明らかに減少したとしており,その減少にはサリチル酸系製剤の使用頻度の減少が何
らかの役割を果たしたように考えられるとしているが17),回収率が昭和58年,59年度
では11.0%で,その他の年度においては30〜50%と大きな差があること,また,昭和58
年,59年度とそれ以後では調査方法に相違があること,一方で報告された患者数におい
ての比較(表4)においても明確な減少傾向は認められていないことから全体として減
少傾向がうかがえるが,年によって増減があることから明確に減少してきているとは言
い難いと考えられる。
また,アスピリンが小児に対してほとんど使用されなくなった後でも,ライ症候群の
報告が依然として見られること,他方において,インフルエンザ様疾患の流行とライ症
候群の患者報告数を平成4年〜5年及び平成6年〜7年において月別に比較したところ,
いずれにおいてもインフルエンザ様疾患は2月をピークとして発生しており,これと同
時期にライ症候群の患者報告数が増加する傾向が認められること(図)から,ライ症候
群はアスピリンの使用とは無関係にインフルエンザ感染それ自体か,あるいはそれに不
明の因子が加わることによって発症する可能性があるように考えられる。(4)最近の動向
ライ症候群とアスピリンの関連性については,各国における報告に相違が見られる18),
19),20)ことから,長期間にわたり各国で専門家による検討が続けられている。また,
国際的に,ライ症候群の臨床的病態21)や発症メカニズムの研究22)が進むにつれて,
昭和55年に設定されたCDC診断基準のみでは,先天性の代謝異常症等が除外しきれないこ
とが指摘されており,その確定診断の困難さについて論争が続けられている。
他方,米国小児科学会は,米国におけるこれまでの調査について総合的なレビューを
した結果,「米国においては,アスピリンの使用とライ症候群発症の危険性との間にほ
ぼ間違いなく因果関係がある」という論文を本年7月に掲載しており23),米国内にお
ける調査研究の一応の総括が行われている。(5)まとめ
米国では,ライ症候群とサリチル酸系製剤の使用の間に疫学的な関連性が示されたが,
我が国の調査ではライ症候群発症とサリチル酸系製剤の使用との間に疫学的な関連性は
明らかにされなかった。この原因としては,米国の疫学調査結果ではアスピリンの使用
量の増加とともに危険性が増すとされているが24),我が国の小児でのアスピリンの使
用量は通常10〜20mg/kg/日,最大でも20〜30mg/kg/日程度であり,米国でのライ症候群
患者のアスピリン使用量26.4mg/kg/日(中央値)(表2)に比べて低いこと,また,日
本と米国ではアスピリンの1人当たりの消費量に十倍以上の差があったこと,さらには,
米国に比べて日本でのライ症候群の発生数が非常に低かったことなどにより,疫学的な
関連性が明らかとならなかった可能性が考えられる。
また,米国では,小児へのアスピリンの使用が減少することに伴いライ症候群が著し
く減少したが,我が国では米国で見られたような明確な減少は見られなかった。なお,
米国ではライ症候群の好発年齢層が10代であったのが,ライ症候群の減少後は好発年齢
層が低下し,日本のライ症候群の発症状況に近づいている。
このように,日米の疫学調査結果が異なったものになったのは,日米のアスピリンの
使用状況の差が結果に反映されたものと考えられる。
以上考察したとおり,我が国においてライ症候群発症とサリチル酸系製剤の使用との
間に疫学的な関連性は明らかにされていないが,我が国とサリチル酸系製剤の使用実態
が異なるものの,米国小児科学会における総合的なレビューも踏まえ,我が国において
もサリチル酸系製剤の小児への使用のあり方について今後も注意を払っていく必要があ
る。(6)今後の安全対策について
ライ症候群の発症とその使用における関連性については,アスピリン以外のサリチル
酸系製剤では必ずしも明らかではないが,他のサリチル酸系製剤がアスピリンと類似の
構造を有していることなどから,これらアスピリン以外のサリチル酸系製剤についても
念のためにサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性について,使用上の注意の改訂等
により改めて一層の注意喚起を行い,所要の措置を講じることが適当と考えられる。
1)アスピリン等のサリチル酸系薬剤を含有する医療用医薬品について
1.アスピリン,アスピリン・アスコルビン酸,アスピリンダイアルミネート,サリ
チル酸ナトリウム,サザピリンのいずれかを含有する医薬品について
使用上の注意の「重要な基本的注意」に記載されているライ症候群に関する記述内
容について以下のとおり改訂する。
(現行)
サリチル酸系製剤とライ症候群との因果関係は明らかではないが,関連性を疑わせ
る疫学調査報告がある。15歳未満の水痘・インフルエンザの患者にやむを得ず投与する
場合には,慎重に投与し,投与後の患者の状態を十分に観察する。
[ライ症候群:小児において極めてまれに水痘,インフルエンザ等のウイルス性疾患
の先行後,激しい嘔吐,意識障害,けいれん(急性脳浮腫)と肝ほか諸臓器の脂肪沈着,
ミトコンドリア変形,GOT,GPT,LDH,CPKの急激上昇,高アンモニア血症,低プロトロ
ンビン血症,低血糖症等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である]
(改訂案)
サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの,米国においてサリチル酸系
製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので,本剤を15歳未満の水痘,
インフルエンザの患者にやむを得ず投与する場合には,慎重に投与し,投与後の患者の
状態を十分に観察する。
[ライ症候群:以下現行と同じ]
2.サリチルアミド又はエテンザミドを含有する医薬品について
サリチルアミド,エテンザミドについては,他のサリチル酸系薬剤と異なり代謝に
よりサリチル酸を生じないが,一層の安全対策の観点からこれらの成分についても1の改
訂案と同様の記載を行う。
2)アスピリン等のサリチル酸系薬剤を含有する一般用医薬品について
サリチルアミド及びエテンザミドを含有するかぜ薬,解熱鎮痛剤の使用上の注意に,
現行のアスピリンを含有する一般用医薬品と同様の使用上の注意を記載する。
なお,アスピリン等のサリチル酸系薬剤を含有するかぜ薬,解熱鎮痛剤の承認基準に
ついては,今後,改定を検討する。〈参考文献〉
1)Reye RDK., et al.:Encephalopathy and fatty degeneration of the viscera:a
disease entity in childhood. Lancet, 2:749−752(1963)
2)CDC:Follow-up on Reye Syndrome−United States. MMWR, 29:321−322(1980)
3)CDC:Reye Syndrome−Ohio, Michigan. MMWR, 29:532, 537−539(1980)
4)厚生省医薬品情報No.9(1982)
5)医薬品副作用情報No.53(1982),同No.72(1985)
6)厚生省医薬品情報No.10(1985)
7)医薬品副作用情報No.81(1986),同No.86(1987)
8)Hurwitz ES., et al.:Public Health Service Study on Reye’s Syndrome and M
edications, Report of the Pilot Phase, The New Engl. J. Med., 313(14):849−
857(1985)
9)Hurwitz ES., et al.:Public Health Service Study of Reye’s Syndrome and M
edications, Report of the Main Study, JAMA, 257(14):1905−1911(1987)
10)Reye症候群に関する調査研究 昭和59年度研究事業報告書
11)Reye症候群に関する調査研究 昭和60年度研究事業報告書
12)Reye症候群に関する調査研究 平成元年度研究事業報告書
13)CDC:National Surveillance for Reye Syndrome−1981:Update, Reye Syndrome
and Salicylate Usage. MMWR, 31(5):53−56, 61(1982)
14)CDC:Reye Syndrome Surveillance−United States, 1986. MMWR, 36(41):689−
691(1987)
15)CDC:Reye Syndrome Surveillance−United States, 1989. MMWR, 40(5):88−9
0(1991)
16)Poss WB., et al.:A Reemergence of Reye’s Syndrome, Arch Pediatradolesc M
ed, 148:879−882(1994)
17)重篤な後遺症をもたらす原因不明の急性脳症と薬剤との関係に関する調査研究 平
成8年度研究事業報告書
18)Hall SM., et al.:Preadmission antipyretics in Reye’s syndrome. Archives
of Disease in Childhood, 63:857−866(1988)
19)Orlowski JP., et al.:Reye’s syndrome:a case control study of medication
use and associated viruses in Australia. Cleveland Clinic Journal of Medicine,
57(4):323−329(1990)
20)Gladtke E., et al.:Monatsschr Kinderheilkd, 135(10):699−704(1987)
21)Hardie RM., et al.:The changing clinical pattern of Reye’s syndrome 1982
−1990. Archives of Disease in Childhood. 74:400−405(1996)
22)吉田一郎:Reye症候群におけるミトコンドリア異常. 小児内科,30(9):1190−
1993(1998)
23)Ralph E., Kauffman MD.:Reye’s Syndrome and salicylate Use. American Acad
emy of Pediatrics(1998)
24)Pinsky MPH., et al.:Reye’s Syndrome and Aspirin. JAMA, 260(5):657−66
1(1988)表1 米国パイロットスタディーの結果
調査期間 1984/2〜1984/5
サリチル酸系製剤の使用率(使用者数/患者数)
ライ症候群
患者群対照群
小計入院
対照群救急室
対照群学校
対照群電話
対照群93% 46% 23% 28% 59% 51% (28/30) (66/145) (5/22) (7/25) (24/41) (30/57)
表2 ライ症候群とサリチル酸系製剤の使用量(米国の本調査結果より)
サリチル酸系製剤総使用量
(mg/kg)サリチル酸系製剤
1日平均使用量(mg/kg/日)ライ症候群 最少値 最大値
4.1 〜 534.1
中央値 74.3最少値 最大値
4.1 〜 89.0
中央値 26.4対照群 2.4 〜 357.1
中央値 24.52.5 〜 51.0
中央値 11.1
表3 日本における調査結果
*1:肝生検で組織の脂肪沈着を確認したライ症候群
昭和56年10月〜昭和57年3月
サリチル酸系製剤及び合剤の使用率10)
(使用者数/患者数)昭和58年4月〜昭和60年3月
サリチル酸系製剤及び合剤の使用率11)
(使用者数/患者数)確定ライ症候群*1 25.0%
(1/4)33.3%
(3/9)臨床的ライ症候群*2 34.6%
(9/26)25.0%
(3/12)対照群 53.8%
(7/13)16.2%
(6/37)
*2:組織の脂肪沈着を確認するための肝生検をしていないライ症候群
表4 ライ症候群患者の年度別発生報告数 (年度)
(注)表中の数値は2次調査結果による
昭和
5859 60 61 62 63 平成
元2 3 4 5 6 7 臨床的ライ症候群 9 16 21 17 16 9 11 9 12 7 5 16 10 確定ライ症候群 4 2 7 6 9 2 7 1 2 2 0 1 1 ライ症候群合計 13 18 28 23 25 11 18 10 14 9 5 17 11
CDCのページで検索できた、ライ症候群に関する資料
1982年
http://www.cdc.gov/epo/mmwr/preview/mmwrhtml/00001108.htm
1982年
http://www.cdc.gov/epo/mmwr/preview/mmwrhtml/00000195.htm
→文献13)に該当
1984年
http://www.cdc.gov/epo/mmwr/preview/mmwrhtml/00000272.htm
1985年
http://www.cdc.gov/epo/mmwr/preview/mmwrhtml/00000465.htm
1985年
http://www.cdc.gov/epo/mmwr/preview/mmwrhtml/00000495.htm
1986年
http://www.cdc.gov/epo/mmwr/preview/mmwrhtml/00000678.htm
1987年
http://www.cdc.gov/epo/mmwr/preview/mmwrhtml/00000988.htm
→文献14)に該当
1989年
http://www.cdc.gov/epo/mmwr/preview/mmwrhtml/00001389.htm
1991年
http://www.cdc.gov/epo/mmwr/preview/mmwrhtml/00001906.htm
→文献15)に該当
1997年
http://www.cdc.gov/epo/mmwr/preview/mmwrhtml/00049023.htm
補 足
全国保険医新聞(99年3月15日)に、浜六郎先生の解説があります。そこから抜粋。
<原則禁忌とは>
「・・・の患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し・・・」のような表現は、一般に原則禁忌とみなされる。
したがって、今回の改訂で、サリチルアミドの入った幼児用PL顆粒はこれまでよりも一層「禁忌」に近い表現になった。
<原則禁忌の意味>
基本的には、単なる感冒や、インフルエンザなどウイルス性疾患の発熱に対しては、解熱剤は不要。大人でも安易に使用すべきではない。特に小児はライ症候群の危険があり、スルピリンやポンタール、ボルタレンなどNSAIDsではそのリスクが大きい。原則禁忌の薬を処方する場合は、患者への説明は必須であり、極めて厳重な観察が要求される。厳密に観察していても、重症化が始まれば止めようがない場合も多いので、初めから投与しない方が賢明。
アスピリン系かぜ薬
北海道新聞 98/12/25より
>> 15歳未満の使用禁止――ライ症候群の恐れ <<
厚生省は24日(98年12月)、風邪薬や解熱鎮痛剤のうち、アスピリン成分を配合した薬を15歳未満の子供に使用することを禁止し、類似成分の薬についても使用を制限するよう、医薬品安全性情報を出して医師や薬剤師に呼び掛けた。急性脳症と肝臓障害を伴い死亡率が高い「ライ症候群」になった子供は、発症前にどう成分の薬を投与されていたケースが多く、米国で発症との因果関係がほぼ確認されたため。
◇ ◇ ◇
市販薬で15歳未満への使用を禁止するのは約230品目。水ぼうそうやインフルエンザにかかっていたり、その疑いがある場合に使用を制限するのは、類似成分のサリチルアミドやエテンザミドを含有する「サリドンA」(藤沢薬品)など約900品目ある。
米国では1982年、ライ症候群とアスピリンなどとの因果関係を示す疫学調査結果が初めて報告された。
厚生省研究班は82年度から96年度にかけて、国内の実態調査を実施。「アスピリンとは無関係にインフルエンザ自体によって発症する可能性がある」といったん結論づけた。ところが、今年7月、米小児科学会が「アスピリンの使用とライ症候群発症の危険性にはほぼ間違いなく因果関係がある」との調査結果をまとめたため、厚生省は使用制限を決めた。
お知らせ (これは、厚生省からのお知らせです)
NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ,最近1年間の「医薬品副作用情報」「医薬品等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。
「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:tel 0120‐161‐011
また,この情報はパソコン通信「MEDINET‐P」を通じ日本薬剤師会より提供されています。なお他の医療情報用パソコン通信でも入手可能です。
日本薬剤師会中央薬事情報センター:tel 03‐3406‐9140